• テキストサイズ

裸の月【気象系BL】

第6章 幻月


老医師に電話をしたら、すぐに駆けつけてくれるという。
事情と状況を軽く話して、そういう訳だから他に漏らしてくれるなということも了承してくれた。

それから、大野の父親に連絡した。
すぐに駆け付けると言うが、さっきの大野の様子を見て、待ってもらうことにした。

大野の意識が戻って、ちゃんと話をしてから…それから会いに来て欲しい。それまではきちんと責任持って預かるからと約束した。

少し嬉しそうだったのが癪に触ったが…今はそんなことには構っていられない。

寝室に戻って、少し照明を明るくした。
ベッドに横たわる大野は、少し顔を顰めたが起きることはなかった。

ホッとしてベッドの横に座り込んで、大野の額の汗をタオルで拭ってやる。
暑いのか、布団を跳ね除けている。
腹が冷えないよう、腹の部分にだけ布団を掛けてやった。
温めて良いのやら、冷やしたら良いのか。
皆目検討もつかないから、こうするしかなかった。

「大野…ごめんな…」

今は、こんな言葉しか出てこない。
紅潮した頬に汗をかいて苦しんでいる顔を見てたら、こんな言葉しか言えないに決まってる。

そっと頭を撫でて、ひたすら許しを請うしか…
俺にはできなかった。

/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp