第6章 幻月
side O
「智…智ぃ…」
黒い影は、俺の上で動き続けてる。
もう、ケツの感覚もなくて。
痛いはずなのに、なんにも感じなくて。
俺は…なに
なのにシーツに擦れるアソコは体がびくりと震えるほど気持ちよくて。
声を我慢して、熱くて汗が吹き出てる。
俺は…なんなの…?
影はぎゅっと俺のこと抱きしめながら、ひたすら俺の体を揺らし続けてる。
「もう、イクからな…?」
優しく言われて、腕を縛られてるのも解かれたけど…
もうどうでも良かった。
早く終わればいいと思った。
…なんのために生きてるの…?
一層強く突き上げられて。
顔が布団の中に埋まりこむ。
腕に力が入らないから、体を起こすこともできなかった。
苦しい…息、できない…
「も…やめて…」
なんとか顔を上げて言ってみたけど、後ろから髪を掴まれて。
「あうっ…」
「うるせえっ…邪魔すんなっ…」
もう殺せ
そんなに憎いなら、殺せ
怒鳴られた瞬間、部屋の中にすごい音が響いた。
「和也っ…テメエ、またヤッてんのか!?」
男の人の怒鳴り声が聞こえて。
和也さんの体が吹っ飛んでいった。
「おい、あんた…潤のダチ?」
「え…?」
ぼんやりと見上げると、知らない男の人で。
頷いたら、その人は後ろを向いた。
「潤、持ってけ」
「…はい…」
入り口に立っていたのは、松本とカズヤだった。
「ごめん…智…」
二人は部屋に入ってきて、俺にバスローブを掛けると、抱き上げた。
「櫻井先生、来てるから…」
カズヤはそう囁くと、離れていった。
「てめえ…邪魔すんなよっ長瀬っ…」
後ろで和也さんの怒鳴り声が聞こえた。