第6章 幻月
「男だよ!わりーかっ!バイなんだよっ」
松本はイライラして叫んだ。
「わ、悪くねーわ!俺もバイだわっ」
相葉先生は勢いで凄いことを言い返して、そのままの勢いで俺を見た。
「もし大野くんを連れ出すので精一杯だったら、俺たち残るから。翔ちゃんは松本くんと大野くん連れて、先に行って?」
「で、でも…」
「いいから。後のことは俺が責任持ってどうにかするから…ね?落ち着いたら、連絡ちょうだいね?それから俺がバイってことはオフレコで」
「ちょ…あいばせんせ…」
「あ、俺のこともいいから。先に帰ってね?ちなみに俺はゲイだよ?それから先生は好みじゃないからね?」
仁科がこっちを振り返った。
「し、知っとるわ!いや、そんなわけにいかんだろう!いろいろと!」
「いいから…相葉先生が居てくれたら、大丈夫だよね?」
「おお。任せとけ!」
「ちょ、おま…にし…」
そんなことを言い合いながら、ガレージみたいな建物の前まで来た。
「ここ!静かにね」
松本の一言で、俺達は黙った。
「…大野がどんな状態でも…見捨てないよね…?」
泣きそうな顔で、松本が俺のことを見た。
凄く真剣な目で…それほど、大野が危険な状態に置かれてるってことか…
…乱交やクスリ…
「…当たり前だ」