第5章 朔
次の日。
朝から職員室は、教頭の機嫌が悪いことで不穏だった。
今日は特進3人の保護者と五関の保護者が呼び出され、話し合いの予定になっていた。
仁科の件に関しては、朝イチで保護者代理の弁護士先生から連絡があって。
本人が怪我をしているので、診断書を取って怪我が治った上での話し合いを希望されたので、後回しになった。
話し合いの日程は特進の3人の保護者と俺で調整して、決めることになった。多分、来週か再来週に話し合うことになるだろう。
まあ、特進の奴らへの処分も先延ばしになるがしょうがない。
さすが弁護士先生…やることに隙がない上、こちらの事情も察してくれていて、助かる。
五関へのいじめの問題と、仁科へ罪を着せようとした事と暴行問題は別々に話し合われることになったので、俺は大野の捜索に集中できそうだった。
2限目、授業がなかったので、本当は中間テストの問題を作らねばならなかったが、保健室へ行った。
「…失礼しまーす」
相葉先生は、奥の事務机で何やら作業をしていたが、くるりとこちらを振り返るとにっこり笑ってくれた。
「翔ちゃん、おはよう」
「おはようございます…昨日はすいませんでした」
「ん?何が?」
「仁科、送ってもらって…」
「ううん。あのくらい大丈夫だよ。それよりさ、カズヤと話したんだけど、大野くんの行きそうなところ…」