第5章 朔
スマホを確認したら、大野の父親からメールが入っていた。
奥さんは病院に入院になったこと。
大野を探しに出たが、親戚筋には居なかったこと。
明日も仕事を半休にして午後から探しに出ること。
…奥さんを病院に入れて、ほっとしたこと…
そんなことが書いてあった。
俺の仕事にも配慮してくれていて、忙しい時に申し訳ないという言葉も添えてあった。
とても丁寧な文面で、俺の親父が官僚だということが、これほどの効果を出すのかと驚いた。
家路につきながら、そのメールへの返信を打った。
探しに行くことができず、申し訳なかったこと。
大野のクラスメイトが捜索に協力してくれること(但し、事情は話していないと嘘をついてしまった)
学校にはまだ報告を上げてないこと。
明日、放課後に仕事が終わり次第、探しに出ること。
送信が終わって、そのまま電車の座席で寝てしまいそうになった。
もう一日でいろんなことがありすぎて…
脳みそパンクとはこのことだ。
何から考えていけば良いのか、何を優先して行動しなければいけないのか。
さっぱりわからなくなっていた。
飯を食って、家に帰って風呂に入ったらもう深夜0時を過ぎていた。
その日はもう、何も考えられず寝ることにした。
最後にみた大野の泣きそうな顔がチラチラして…
よく眠れなかった。