第5章 朔
side S
その日は結局、作戦はまとまらなかった。
途中で教頭が保健室に来て、仁科にあの3人の話を聞いてほしいとかなんとか言ってきて…
なんだかんだと話が紛糾して、一旦お開きになったのはなんと午後も5時ごろだった。
職員は残って、学校長会議ということが決まったので、生徒たちは先に帰すことになった。
仁科は保護者が急には迎えにこれないということで、怪我をしているし相葉先生が送って帰ることになった。
「ちゃんとカズヤと作戦会議しておくから、安心して」
相葉先生は頼もしく請け負ってくれて、なんだか泣けた。
五関も、特進の3人もしっかり親が迎えに来たが、五関の親はもちろん怒っていて、特進の3人の親は教頭になぜか怒っていた。
辟易した。
五関の親の怒りはわかる。
だが、特進の3人の親は、教頭に責任転嫁をしている。
自分が育てた息子なんだから、道を間違うはずはないとでも思っているのか。
悪いことは他人に押し付けて、自分は省みないという…
大野や仁科の親と、同じだ。
揃いも揃って、クソみたいな親だ。
そのクソに育てられたのに、どうしてこんなに大野と仁科、特進の3人は違うんだろう。
そんな疑問を持たずには居られなかった。