第5章 朔
それから飯を食い終わって。
弁当殻を片付けてたら、松本のスマホに着信があって。
しばらく電話してたけど、松本はため息を付きながら戻ってきた。
「わりい…ちょっと家に戻らなきゃいけなくなった…」
「あ、うん。行ってきなよ」
「でも…一人で平気?」
「ああ…大丈夫だよ、多分…」
「そお…?」
松本はそわそわと寝室のほうを見てる。
「なるべく戻ってこれるようにするけど、和也さんから飲み物出されても飲むなよ?」
「え?どういう…」
その時、寝室のドアが開いて和也さんが出てきた。
手にはスマホを持っている。
「おい、潤…」
「あ、和也さん、俺、今日帰らなきゃいけなくなって…」
「は?これからあいつら呼び出して酒でも飲もうと思ったのに…」
「ごめんなさいっ!みんなで楽しんで?」
拝みながら、松本は立ち上がった。
見送るのに小さな玄関まで一緒に行ったら、松本は囁いた。
「いいか…?酒、飲むなよ…?」
そう念を押して、松本は帰っていった。
「智ぃー」
松本が帰ると、和也さんは俺を呼んだ。
「風呂でも入ってこいよ」
「あ、はい…」
なぜか、和也さんはご機嫌で。
スマホを持ってたけど、アイランドキッチンの上に放り投げてた。