• テキストサイズ

裸の月【気象系BL】

第1章 狐月


職員室に戻って、出席簿を抱え、1限の授業の準備をする。
こんなことなら、準備しておけばよかったと後悔。

「ぬあああ…」
「ちょっと櫻井先生うるさい」
「あい、すんません!」

学校事務の澄岡さんが、席からちらりとこちらを振り返った。

「もうHR終わりますよ?」
「すいません、ちょっと手間取っちゃって…」

ザマスメガネを掛けて、引っ詰め黒髪。
事務員の制服に、腕には黒のアームカバー。

事務員のコスプレ?ってほど、絵に描いたような昭和の女性事務員さんスタイルをしている。

「…今日は、教頭休みです」
「……へ?」
「私は何も言っていません」

ギシッと事務椅子を軋ませながら、澄岡さんは事務机に向き直った。

「あ、ありがとうございますっ…」

教頭は、いわゆる普通の会社で言う専務的な存在で。
学校教育というよりかは、生徒が金に見えてるタイプの教員だ。

課せられたノルマを達成しない教員に対しての当たりは強い。
今こうやってHRが終わりそうなのにモタモタしている姿を見られたら、昼休み丸々説教コースだ。

とりあえず、休みということでホッとした。

少し心を鎮めて準備をして、慌てて職員室を駆け出した。

途中、HRを終えた同僚教師とすれ違うが、俺の額の絆創膏を見て笑われる始末。

今日はきっと、仏滅なんだ。

/ 330ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp