第5章 朔
それから、松本が弁当を買ってきてくれてたから、ふたりでそれを食って。
食いながら話してたら、服を着た和也さんが寝室から出てきた。
まだぶーたれた顔をしている。
「おい。潤」
「はいぃ?」
だらしない格好でソファに座っていた松本は、そのままの姿勢で顔を上げた。
「智とヤルんなら、寝室使っていいぞ」
「ぼふあっ…」
思わずご飯を吹き出してしまった。
「な、何してんだよ…お…智っ…」
「ごほっ…ごほっ…」
和也さん…なんてこと言い出すんだよお…
「や、やだなあ…和也さんっ…俺、今日はそういうつもりで来てないから…」
「あ?せっかく他の連中追い返したのに…」
「えっ…」
松本が俺の顔を見た。
そういえば、和也さんどうして松本だけ入れたんだろって思ってたけど…
もしかして、俺のため…?
きょとんとした顔の松本と目が合った。
いや…俺の顔見るな…
黙って吹き出したご飯をティッシュで片付けてたら、和也さんが俺たちのことじっと見て…
「なあ…本当におまえら付き合ってんの?」
「ぶほあっ…」
なんて聞くから、今度は松本がジュースを吹き出した。
「ごほっごほっ…ちょ、和也さん…どうしたんすか…?今までそんなの、気にしたことないじゃないっすか…」