第4章 雨月
「だって…あいつら、だめだよ。もう」
あっけらかんと相葉先生は言い切った。
「前に停学なり、処分出しておけばよかったんだよ。なんにもなかったから、自分たちは特別なんだって勘違いしたんだよ」
「いや、それは…」
教頭が袖の下もらってたからだって、言いそうになったけど、仁科がいるからやめた。
「2回目は、ないでしょ」
そう言ってにっこり笑った。
仁科もうんうん頷いてる。
「で、大野くんのこと…」
「そうだよっ…先生!」
「ああ…いや、な…?」
思えば…大野が飛び出した時、なんで俺はあんなことを言ってしまったのか…
『…おまえがやったのか…?』
あんなこと、言わなきゃ…
大野はきっと家を飛び出していかなかったんじゃないか。
「俺がちゃんと、信じてやることができたら…」
「え?」
「大野は家を飛び出さなかったかもしれない」
「どういうこと…?」
エントランスで会った家政婦さんから、部屋にたどり着くまで、息子が酷い家庭内暴力を働くと聞いていた。
もちろん、信じたわけじゃない。
だけど、部屋のあの状況…それに母親を閉じ込めていたという事実…
一瞬…ほんの一瞬、疑ってしまったんだ。
もしかして、大野がやったんじゃないかって…