第4章 雨月
「その話…ホント…?」
仁科の声がした。
振り向くと、ドアが開いていて…仁科が呆然として立っていた。
「えっ…カズヤ…いつの間に…」
「に、仁科…お前…」
しまった
いくら友達とはいえ、大野の個人情報を知られては…
焦って立ち上がると、仁科は俺に向かって突進してきた。
「どあっ…」
体当りしそうな勢いで俺に迫ってくると、俺の腕を掴んだ。
「大野はっ…智はいまどこにいるの!?」
「い、いや、仁科…」
「家を出たって…どこか宛はあるの!?」
「ま、待てって、落ち着け…」
こんな泡食ってる仁科、見るのは初めてで。
「ちょっと落ち着きな!カズヤ!」
ごちんと相葉先生が一発くれてやって、やっとおとなしくなった。
「…だって…」
「だってじゃないよ…友達が心配なのはわかるけど…」
「はい…」
「あんた、手首は?」
「あ」
嘘だったのかよ…
「もお…大概にしなよ?カズヤ…」
「はぁい…」
でも左頬はまだ赤くて、さっきより少し腫れてきてる。
殴られたのは事実のようだった。
「まあ…いいけどね。あいつら退学にするには、もっと派手に痛がっておきなよ?」
「はーい」
って、おい!何いってんだ!?