第4章 雨月
テーブルに突っ伏していると、相葉先生がお茶を持ってきてくれた。
「暑いけど、ホットでいいよね?」
「あ、はい…ありがとうございます…」
カップを受け取って、ため息を付いた。
「まあ…おつかれ…」
「お疲れさまです…」
マグカップを相葉先生が乾杯風に掲げたから、俺も少し持ち上げてお茶を啜り込んだ。
「で…どうなってんの?」
「ああ…五関でした。仁科が言ってたの…」
「…そっか…」
「やっぱ去年の奴らが…五関をまだ、いじめてたみたいで…」
「…特進の子たちだね」
「でも、五関のやつ…今日は抵抗したんだそうです」
「えっ…!?あの五関くんが!?」
「はい…殴り返したそうです」
「…想像できない…」
「ええ…俺も想像できない…」
でも…五関は変わろうとしたんだ…
自分で解決しようと…立ち上がったんだ。
「で、たまたまそこに通りかかった仁科が…」
「うん…」
「いじめを止めようと、仲裁に入った、と」
「もうさあ…天変地異みたいなもんだよね…」
ずずずーっとお茶をすすると、はあっと息を吐いた。
「カズヤも五関くんも…どうしちゃったわけ…?」
常連というだけあって、仁科のことも相葉先生はよく知っているようだった。
さすが相葉先生…もしかして、学校のどの先生よりも、生徒のこと把握してるんじゃないか…?
「さあ…ただ、五関は…」
俺が…強いって…見てるからって言ったから…
だから勇気を出して、立ち向かえたんだと…