第4章 雨月
side S
保健室に行くと、相葉先生がベッドのあるカーテンの中に顔を突っ込んでいた。
「…相葉先生…?」
何をしてるんだ…この人…
「しー」
カーテンから顔を出した相葉先生は、口に人差し指を当ててこっちを向いた。
「カズヤ寝ちゃったから…シーね?」
「あ、はい…え?カズヤ…って…」
「あれ?知らなかった?こいつ、保健室常連なの」
し、知らなかった…どっか資料見落としてたか…
相葉先生に手招きされて、保健室の奥にあるカウンセリングルームに落ち着いた。
ここはスクールカウンセラーが来た時に、生徒と話すための部屋だ。
「あ、お茶でも飲む?」
「お願いします…」
白衣を翻して、先生は部屋を出ていった。
「はあ…疲れた…」
なんか今日はてんこ盛りな日で…なんだってこんなことに…
さっき、職員室に戻った時、自分のスマホをポケットにねじ込んできた。
さっと取り出して、メールチェックしたら、大野の父親から返信が入ってた。
奥さんを確保したこと、これから病院につれていくこと。
息子とは連絡が取れないこと、奥さんが落ち着いたら探しに行くこと。
ビジネスマンらしく、わかりやすく書かれていた。
わかりましたと返事を打って、ちょっと自分はまだ探しに行けそうもないと追加し、メールを送っておいた。