第4章 雨月
借りたシャツとチノパンは、汚しちゃいけないから着替えた。
和也さんの寝室のベッドの上に、置いておいた。
まずは昨日のゴミを片付けようとリビングに戻ったら、和也さんがバスルームから出てきた。
軽くシャワーしてきたようで、バスタオルを腰に巻いて首からハンドタオルを下げていた。
濡れた髪をぶるっと振ると、冷蔵庫を開けた。
「…智って、聖華なの?」
「あ、はい…」
「ふうん…潤の同級生だったんだ?」
「はい、中学の時…」
「ふうん…」
ペットボトルを取り出すと、蓋を開けて飲み始めた。
アイランドキッチンの棚からゴミ袋を出して立ち上がると、和也さんがこっちを見てた。
「なにしてんの?智…」
「え?あ…することがないから、掃除でもしようと思って…」
「掃除ぃ?」
掃除は…母さんが暴れるから…
家でもしてたし。
床を拭くのは好きだから、あんまり苦にならないっていうか…
なんにも考えなくていいから。
それに…和也さんにお金貰ったから。
その分、働かなきゃいけない気がした。
働いたことなんてないけど…
「そんなことしなくていいのに…」
「でも…することないから…」
「じゃあ、ゲームでもしてろよ。テレビの下に入ってっから」