第4章 雨月
「あ…えっと…僕は、聖華学園です…」
和也さんがどこの大学行ってるかは聞いてなかった。
なんとかごまかさなきゃと、咄嗟に本当の学校名を言ってしまった。
「ほお…聖華学園。いい学校だね」
「ありがとうございます」
大学部もあるから…大丈夫だよね…?
ちらっと和也さんを見るけど、無表情に前をただ向いて座ってる。
お父さんは、テーブルを回り込んで向かいに腰掛けた。
「和也と仲良くしてやってね。大野くん」
「あ、はい…こちらこそ…」
座りながら答えると、お父さんは頷いて。
それからテーブルに置いてある新聞を手にとって読み始めた。
すぐに奥の扉から、メイドさんが入ってきてお父さんの前にコーヒーを置いた。
次に入ってきたメイドさんも俺と和也さんの前にコーヒーを置いていった。
それを飲みながら待っていると、次々に朝食が運ばれてきた。
メイドさんの他に、スーツの男の人も入ってきて、その人とお父さんは仕事の話をしているようだった。
「…佳乃は?」
「奥様はまだお休みでらっしゃいます」
「そうか。今晩は、アギーレ社の創立記念パーティーがあるから…」
「はい、お伝えしてあります」
「わかった」