第4章 雨月
メイドさんらしき人が来て、和也さんはメイドさんに飯を食うと伝えた。
右手の方にある、部屋に通された。
土足でいいのかな…
和也さんの後をついて、靴を履いたまま入っていった。
部屋は明るくて。窓が何個もあってレースカーテンが掛かってる。
大きな木のテーブルが真ん中に置いてあって、椅子が置いてある。
「ん」
和也さんは椅子に座ると、隣の椅子を顎で指した。
そこ座れってことな…
大人しく座っていると、誰か入ってきた。
ワイシャツにスラックスという姿で、腕時計を着けながら部屋に入ってきた。
「おはよう。和也」
「おはようございます。父さん」
え…和也さんのお父さん…?
お兄さんと言っても通じるくらい、若く見える。
すらりと背が高くて、足も長い。
顔も面長で、目も切れ長。
童顔で、まんまるな目の和也さんとは似ていない。
似てるのは色白なとこだけ…
「…君は…見ない顔だね」
じっと見られて、戸惑った。
ペコリと頭を下げると、お父さんはふっと笑った。
「和也、お友達が緊張してるようだよ?」
「あ、はい…」
ちらっと和也さんは俺を見た。
「…自己紹介…」
ぼそっと呟くと、目を逸らした。
「あ…大野智です。はじめまして」
立ち上がって、入り口に立っているお父さんにペコリと頭を下げた。
「和也と同じ大学なのかな?」