第4章 雨月
「仁科…」
「あ。櫻井先生…」
キョロキョロと俺たちの後ろを見ているが、俺の顔を見た。
「あのちっこい先輩は?」
「え?」
「なんだ…いないんだ…」
そう呟くと、相葉先生がいつも座っているデスクの横にある小さな丸イスに腰掛けた。
「…なんすか?俺の話、聞きに来たんでしょ?」
「あ、ああ…」
保健室のミーティングテーブルにそれぞれ腰掛けて。
中島先生は、もうぶっ倒れそうな顔をしていた。
去年から…こんなことが続いているから、もうあいつらを擁護する気も失せているんだろう。
さっきから一言も口を挟んでこないから、嘘をついているのがどっちなのかはわかっているんだろう。
「仁科くん、先程事情をあちらの3人から聞いたんだがね、君の話も聞かせてくれるかい?」
学校長が穏やかに話しかけると、仁科は俺の顔を見た。
いいの?って感じだったから、頷いてやった。
「俺、何回かあの先輩たちが、同じ3年のちっこい先輩を殴っているのを見かけてました」
んーと上を向くと、また俺を見た。
「一回、大野が助けに入りました。俺、それも見ていました」
「あ、やっぱり大野だったのか…」
「大野?櫻井先生、大野がどうしたんです?」
教頭が噛み付くみたいに話に入ってくる。
邪魔クセェ…