第4章 雨月
五関はブレザーのボタンを外して、脱いだ。
そして背中の部分を学校長にしっかりと広げて見せた。
「ふむ…これは、足跡にみえるね…」
ちらりと3人を振り返ると、学校長は俺を見た。
「櫻井先生、仁科くんの話も聞きましょう。他の先生は、授業の準備を」
そう言って他の職員を見渡した。
もうすぐ、昼休みが終わりそうだった。
学校長は、3年と2年の学年主任を呼び出して、いろいろ指示をした。
それから、あの3人の担任の中島先生と、俺、そして学校長と教頭で、保健室に向かうことになった。
五関は五関の担任と、職員室に残ることになった。
小会議室には、生徒3人だけ残して、出入り口に授業のない教師が付いていることになった。
学校長は職員室を出る時、澄岡さんに何やら囁いていた。
「行きましょう」
職員室の前には、生徒が屯していた。
「こらー昼休みは終わりますよ!教室に帰りなさい!」
教頭が怒鳴るように言うと、蜘蛛の子を散らすように生徒たちは居なくなった。
でも、うちのクラスの生徒が何人か残った。
クラス長までいるじゃないか。
「先生…仁科、どうしちゃったの?」
「ん?なんでもない。教室帰りなさい」
「でも…大野も来てないし…なんか、あったの?」
「…大丈夫だから…さ、戻りなさい…」
2年E組…もしかして良いクラスになってるのか…?