第4章 雨月
「やっと…教室に通えるようになったのは、今のクラスの友達のおかげです…でもこいつらは…見かけるたびに…前と変わらず…」
泣きそうになりながら、必死に学校長の目を見て訴えている。
学校長は、ゆっくりと頷きながら五関の話を黙って聞いていた。
「だ、だから…さっきも…僕がこいつらに殴られているところに、仁科がっ…仁科は僕を庇ってくれたんですっ」
五関は立ち上がって、3人を指差した。
「…先生!僕、嘘言っていませんっ!こいつらがっ嘘っ、言ってるんだぁぁぁっ!」
もうほとんど最後は絶叫だった。
あんな大人しくて…なんの反撃もできなくて…
大きな音にいつも怯えている五関が…絶叫してるんだ。
もう3人の生徒も、ぽかーんとそれを見ている。
「…わかりました。では、仁科くんの話を聞きましょう。彼は今どこに?」
学校長が教頭の顔を見た。
「怪我をしているので、保健室だと…」
「わかりました。では行きましょう。君たちは、ここで待っていてくれるね?」
学校長が穏やかにそう言うと、3人の生徒は立ち上がった。
「なんでですか!仁科が悪いんです!突然殴ってきたんです!」
「そうです!俺だってほら…!顔が腫れて…」
「う…うるさあああいっ…!」
五関がまた叫んだ。
「僕の背中にっ…こいつらの靴跡がついてます!見てくださいっ…」