第4章 雨月
「あ…えっと、その…」
赤坂は、視線が集まったことで我に返ったのか、直ぐ椅子に座り直した。
五関を睨みつけたまま。
でも五関はまっすぐに学校長を見上げ、足を踏ん張った。
「僕…その人達に、殴られました!」
五関がでっかい声で、叫んだ。
「五関!嘘言うなっ…」
今度こそ、3人の生徒たちは立ち上がった。
「そいつが嘘ついてるんだ!」
「俺たちは突然仁科に殴りかかられたんだっ…」
「もう五関にはなにもしてません!信じてください!」
3人は教頭に向かって一生懸命訴えている。
教頭は3人の必死な様子を見て、慌てて学校長を見る。
「…五関くん…きちんと説明できるかな?」
学校長が、椅子に座った。
五関にも椅子を出して、落ち着かせるように椅子に座らせた。
「あなたたちも座りなさい」
学校長が振り向いてそう言うと、3人は渋々椅子に腰掛けた。
「…五関くんは、あの子たちに殴られていたというんだね?」
穏やかに学校長が語りかけると、五関は頷いた。
「始業式の日から…見かけると、彼らは殴ってきました。だから、僕…保健室に登校していたんです。前のクラスの時は、毎日でした」
学校長の眉が、ピクリと動いた。