第4章 雨月
「ほんと、みんな気のいい先輩ばっかだから、安心してよ!」
「うん…」
「でもさ…まあ、ちょっと怒りっぽくなるときもあって…」
「え?」
「そういうときは、絶対に逆らわないでね?そうしてれば大丈夫だから」
「ど、どういうこと…?」
なんかそんなこと聞くとビビる…
「大野なら、大丈夫だと思う!」
カラッと笑ってそう言われたら、ビビってるの悟られそうでそれ以上は聞けなかった。
松本がペットボトルのコーラを、ぐびっと飲んだ。
俺も、なっちゃんをちょびっと飲んだ。
「今日はこんなだけどさ…毎日誰かしらここにいるから…金の心配ないなら、ここで十分暮らしていけると思う」
「うん…ありがとな。松本…」
「ううん。全然。力になれてよかった」
コーラの蓋を閉めると、横にあるテーブルの上の缶をちょっとどかして置いた。
俺は手に持ったなっちゃんのラベルを見ながら、さっき松本が言ってたことを思い出していた。
「なあ…」
「ん?」
「さっき…俺がDV受けてるって…」
「あっ!ごめんね!勝手に…」
「…なんで、わかった…?」
そう言えば、カズヤも…
なんにも言わないのに、俺が家族に暴力受けてるってわかってたみたいだった。
どうして…伝えてもないのにわかるんだろう。