第4章 雨月
『うえーい…なんだ、潤か。入れよ』
スピーカーから男の人の声が聞こえてきた。
「ちーす。お邪魔します」
カシャっとまた小さな音がして、ドアが解錠された。
「誰も居ないときもたまにあるんだけどさ。この階段で座ってたら、誰か鍵持ってる人が来るから。大丈夫だからね」
「うん…」
ドアノブを押してドアを開けると、むわっとタバコの臭いが押し寄せてきた。
「こんにちはー!」
松本は、小さな玄関で靴を脱ぐとスタスタと入っていった。
「ま、待って…」
慌ててスニーカーを脱いで上がらせてもらった。
部屋の中は薄暗くて。
窓は付いてるけど、遮光カーテンが締まりっぱなしだった。
部屋の中にはところどころ、電気スタンドがあって灯りがついてる。
黒を基調とした家具で統一されてて、床には大きなグレーのラグが敷いてある。
その周りにぐるっとコの字に、レザーの大きなソファが配置してある。
いくつかあるソファの間にはテーブルが置いてあって、そこには酒の空き缶が乱雑に置いてある。
「誰?」
後ろから声が聞こえてびっくりした。
思わず振り向くと、そこにいるのは俺くらいの身長の若い人で。
同じ高校生かな?って思った。