第4章 雨月
その鉄の扉じゃなくって、裏の方に回って。
塀の続く中に、ぽつんと小さな出入り口があった。
そこも頑丈なドアがついてて。
その横にはインターホンがついてた。
松本は慣れた手付きで、インターホンの蓋を開けて。
中には、数字のボタンがあって、ポチポチと押した。
カシャッと小さな音がしてドアが解錠されたようだった。
「あとで、暗証番号教えとくね」
そう言うと、ドアノブを押して中に入っていった。
「こっちこっち」
先に立って歩いていく松本の背中を追いながら、キョロキョロしてしまった。
敷地は思ったよりも広くて。
母屋だと思われる建物は、小洒落たビルのようだった。
狭いながらも立派な庭を歩いていくと、小さな建物が見えて。
そこはどうやら車庫のようだった。
建物の前は、広い砂利敷になってる。
5台くらいは余裕で入りそうな、大きな車庫で。
全部閉じてる白いシャッターの向こうに、ドアが見えた。
「ここ。この2階。先輩の部屋は母屋にもあるんだけど、こっちは友達と遊ぶように作ってくれたんだって」
ドアを開けると、上に向かう階段が見えた。
その階段を松本は登っていく。
上に着いたら、ドアの横についてるインターホンを鳴らした。