第4章 雨月
「よっ!待った?」
駅の構内のジュースバーを待ち合わせ場所に指定されて。
ジュースを飲みながら時間を潰してたら、松本が来た。
制服を着てヘラヘラ笑いながら、右手を上げてる。
「待ってない…学校はどうしたの?」
「ふふ…サボってきた」
嬉しそうに俺の顔を見ると、すぐに足元のボストンバッグに気づいた。
俺の顔と交互に見る。
「…もしかして、家出…?」
「…うん…」
別に助けてもらおうとか…
そんな期待をしてたわけじゃなかった。
でも、どうしようもなくひとりでいるのは不安で。
少しでもいいから、誰かと居たかった。
「宛…あんの?」
「ううん…ないけど。金ならあるから」
強がってそう、声を出してみたけど。
さっきの先生の軽蔑した目を思い出すと…
どうしようもなく、心臓のあたりが寒かった
「そっか…じゃあ、俺の先輩の家、いく?」
「…え?」
「まあ、暫く置いてくれると思うよ。なんにも聞かないで」
「ほんとに…?」
「ちょうどさあ、この前連れて行こうと思ってたんだよね…今から、行こうよ!」
そう言うと、先に立って歩き出した。
慌てて空になったカップを捨てると、ボストンバッグを掴んで後を追った。
そんな俺を振り返ると、松本はにっこり笑った。