第4章 雨月
そのまま歩いていたら、山手線の駅に出た。
なんとなく電車に乗って。
渋谷で降りた。
ここなら、こんな昼間に俺みたいな未成年がウロウロしてても、大人に捕まることはない。
とにかくどこかに紛れたかった。
俺以外の、なにかに。
紛れたかった。
スマホを取り出して時間を確認した。
午後になったばかりだった。
これからどこに行こう…
渋谷には遊びには来るけど、どこか泊まるとなると…
未成年がひとりで泊まれそうなところって言ったら、漫画喫茶くらいしか思いつかない。
漫画喫茶の看板を探してしばらく歩いていると、手に持っていたスマホが震えた。
こんな時間に誰だろ
そう思って画面を見たら、松本だった。
「あ…」
この前、渋谷であんな別れ方してから連絡が来てなかったから、もう見捨てられたかと思ってたから…
電話が来たのが、嬉しかった。
「…もしもし…?」
『あれっ…?外?大野、学校は?』
「ああ…休んだ…」
なんだか松本の脳天気な声が、ホッとして。
そういえば、学校は昼休みの時間なんだって思い出した。
『休んだあ?マジで?』
「うん…」
『…なんか、あった…?』
「いや、別に…」
暫く松本はなんか考えてるのか、黙ってて。
『ホントは放課後にでもと思って電話したんだけどさ。今から遊ぼっか!』