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徒花まみれの心臓 ~企画~

第2章 アイ・ワズ・アイ


市丸隊長と夜一と平子






















滅多に俺らの拠点を訪れることのない夜一が、面白いものを入手したと言って俺に手渡してきた一冊の分厚い雑誌のようなもの。死神の世界なんぞ興味ないわ、要らん。と突っぱねる俺に対し、夜一はにんまりと笑って言う。


「そうか、残念じゃ。おぬしが気にかけておった小娘の特集が組まれておるとかで、おぬしのためにと思って極秘に入手してきたんじゃがのぅ。どうやら余計な世話じゃったようで、いやはやすまんかった」


じゃあこれは喜助にでも渡しておこうかと言いいながら、俺からそれを奪おうとする夜一の手をサッと躱す。無言。もう一度伸ばされた手を、また躱す。


「……”死神の世界なんぞ興味ないわ” …じゃったかの?」


「興味なんざあらへんけど、敵の情報収集はしとかなあかん!気が変わったんや!これは返さへんで!」


「そうかそうか」


にやにやと笑みを浮かべる夜一をしっしと追い払い、漸く一人になる。袋から取り出した雑誌の表紙には、自分の記憶とは随分異なる、美しく成長した市丸の姿があった。(いっちょ前に大人になっても、ニコニコ薄っぺらい笑み貼り付けてんのは相変わらずか。…髪、えらい伸びたな。金盞花の花持って隊首羽織着とるっちゅーことは、アイツ三番隊の隊長になったんかい。)不思議な気分だった。こいつは藍染の部下で、百年前に俺を裏切った敵であるというのに。目の前で手酷く裏切られたにもかかわらず、その小さな手は震えていたから。ずっと、心残りだった。恨むにも恨み切れず、この百年間ずっと、市丸の心情を考え続けてきた。あんなに小さかった天才少女が、今はこんなにも大きくなって隊長を務めている。その現実に、時の流れを感じるとともに、少し嬉しくも思うのだ。『護廷で最も謎多き三番隊隊長・市丸愛美の素顔に迫る!』――デカデカと書かれたその文字に、陳腐な文字列やなァと少し笑って。そうして、少しの緊張と共にページを捲った。


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