第2章 アイ・ワズ・アイ
「せやけど、これも違うんやったらお手上げですわ。ね、藍染隊長。なんでそないヘソ曲げてはるんですか」
近寄って、眼鏡を奪う。遮るものがなくなった冷たい瞳が真っすぐ私を射抜く。されるがままの彼にへらりと笑って、顔を覗き込んだ。それでもまだ、彼は理由を明かしてはくれない。
「愛美」
「はい」
合わせていた目を、ふいと逸らしながら彼が口を開く。
「…随分と表情が豊かになったものだ」
その厭味ったらしい一言で、なんとなく察しがついた。
「………あー、…見られはったんです?写真」
「見たどころか、写真の選別まで手伝ったさ」
「あらら」
藍染隊長や白哉クンをびっくりさせようと思って引き受け、内緒にしていたにもかかわらず、発売前に写真の選別をされているとは予想外だった。雛森チャンが五番隊…恐らく藍染隊長にだけであろうが、ここまで大っぴらにしているとは。バレてしまっては仕方ないと、開き直る。笑みを崩さず、ちゃんとええ写真選んでくれましたやろかとお道化ると、ここではじめて彼が動いた。伸ばされた手は、私のうなじを捉える。そうして引き寄せられたかと思うと、瞬間、首に鈍い痛みが走った。思わず息を詰める。視線を下に向けると、私の首に歯を立てている彼の姿。思い切り、噛まれている。どうやら思っていた以上に機嫌が悪いようだ。ギリギリという音さえ聞こえてきそうなほど噛まれている首は勿論痛いが、引きはがす気にはならなかった。代わりに、無沙汰だった手で彼の頭を撫ぜる。しばらくそうしていると、少しは気が済んだのか、今度はまるで労わるかのように歯形がついているであろうそこを舐められた。ぬるりと這う舌に思わず反応を示してしまった私に気をよくしたのか、そのまま吸いつかれ跡をつけられる。この流れは、まずい。
「…そないなとこに跡つけられてもうたら、隠すん大変やないですか」