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徒花まみれの心臓 ~企画~

第2章 アイ・ワズ・アイ




至極楽しそうに言う雛森チャンに苦笑をひとつ。堰を切ったように写真集のことを話し出す彼女を、それは耳にタコができるくらい聞いたよと藍染隊長が優しく諫める。この様子では、恐らく五番隊舎で毎日のように藍染隊長に報告していたのだろう。


「すまないね、雛森君はここ最近ずっとこの調子なんだ。うちの隊士達も君の特集を今か今かと心待ちにしているよ。…何せあの秘密主義な元副隊長の特集だからね」


「…そら光栄ですわ」


なんだろう、この圧は。不機嫌そうな空気は最初から分かっているのだが、どうにもその理由を「彼に報告しなかったから」とするには、しっくりこない。少し、戸惑う。藍染隊長が人前でこんなにも感情を表に出しているのを見るのは初めてなのだ。いつもの穏やかな仮面がはがれかけている。これは放っておいたら面倒なことになるなと直観し、目で今夜部屋を訪ねることを伝えると、眼鏡の奥で不機嫌そうな色を携えていた瞳がほんの少しだけ和らいだ気がした。それにホッとして息を吐き、九番隊舎へと向かう。こんなにも夜がくるのが怖いと思うことは初めてだった。
















夜。人目を避けるように五番隊の隊首室へと向かう。嫌だ、行きたくないという本心を心の奥底に仕舞いながら、にこりとした笑みを貼り付けその部屋の前に立った。すぐさま入りなさいという声が襖越しにかけられる。


「…ほんで、何がお気に召さんかったんです?」


後ろ手に襖を閉めながら小首をかしげて問うと、何のことだかとしらを切られた。嘘ばっかり。昼間見た時と同じような、何かが面白くないという顔をしているくせに。特集の依頼を受けたのがまずかったのかと問うた。別に構わないと彼は言う。はて。九番隊のインタビューで五番隊副隊長時代の話を聞かれた際に、藍染隊長の苦手なゆで卵に関する話をしたことがダメだったのかもしれない。あまり好きではないらしいゆで卵も、私が嫌がらせで用意したものならば小言を言いながらも食べてくれる。そのことを話したのがまずかったのかと問うと、彼は冷ややかな笑みを浮かべながら、そんなことまで話していたとは知らなかったなと言った。私が余計なことを話したということはいずれ彼にも知られることではあったが、墓穴を掘ってしまったか、と笑う。


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