第2章 アイ・ワズ・アイ
「……愛美、あんたこれから毎日ちゃんと化粧しなさい」
「想像以上だ」
「元のパーツが良いとこうも化粧栄えするんですね…」
「市丸隊長と浮竹隊長のツーショットが欲しい…!」
「女性死神協会の今年度の経費について心配する必要はなさそうですね」
思い思いに発せられた感想に、褒められているのかそうでないかの判別がつかない。雛森チャンが興奮気味に手渡してきた鏡を見て、随分顔に色がついたな、という感想しか出てこない。そんなに変わっただろうか?よくわからないと零すと、呆れたように乱菊が溜め息を吐く。
「ヘアセット担当の卯ノ花隊長がいないので、私が髪を結っても良いですか?!」
きらきらと目を輝かせる雛森チャン。若干その勢いに押されながら是非と答える。そうして為すがままに髪の毛を結われ、恐らく簪か何かを刺され、やっと私が完成した。
「…もう帰ってもええんやろか?」
完成した私にきゃいきゃいと騒ぐ周りにどう声をかけて良いものかわからなかったのでその輪に唯一入っていないネムチャンに尋ねると、無機質な声で是をいただいた。衣装に化粧にヘアセット。明日にはこれが何回も行われるのだと思うと、少し気落ちする。ただ、美人だなんだと褒めちぎってくれた彼女達の評価を信じるのでれば、私の写真集を見て藍染隊長や白哉クンはさぞ驚いてくれることだろう。その姿を想像することだけが、今の私のモチベーションを維持する唯一の方法だった。これだけを胸に頑張ろう。自分に半ば言い聞かせるようにして、瞬歩で三番隊隊舎へと戻る。私の姿を見て隊士達が絶句して固まる様子に、まあ普段化粧っ気のない隊長がこんな顔になってたらそうなるよなあと申し訳なく思いながらイヅルの元へと向かう。
「イヅル~ただいま」
「おかえりなさい、市丸隊……」
他の隊士達と同様に絶句して固まるイヅル。やっぱ、似合わへんかな?言って、笑いながら首を傾げると、イヅルは顔を真っ赤にして鼻血を流したのだった。