第2章 アイ・ワズ・アイ
「明日から写真集の撮影を始めようと思っています。市丸隊長の仕事についてですが、勤務スケジュールはこちらで調整しておきましたのでご安心ください」
「お、おおきに。…せや、明日からなのに何で今呼ばれてん?」
「事前に確認しておきたい事・試しておきたい事があります」
後ろからずいっと現れたネムチャンにわっと驚きながらその詳細を尋ねると、どうやら私の採寸データに間違いがないかどうかの衣装合わせだったり、化粧や髪を結う練習だったり、そういったものの確認をしたいとのことで。えらい張り切ってはるなァ。苦笑すると、経費のためであると七緒チャンはきっぱりと言い切った。潔い。
「まあ私も女性死神協会の一員やし、協力せんとあかんね。ほな皆さん、よろしゅう」
写真撮影にあたり、衣装を担当するのは乱菊と雛森チャン。化粧を担当するのはネムチャンと砕蜂チャン。ヘアセットを担当するのは卯ノ花サン。カメラマンは虎徹姉妹。現場監督は七緒チャンとやちるチャン。おおまかにはこのような役割になっているらしい。ネムチャンと雛森チャンは器用であるため、仕事で来れない人がいた場合にはその穴埋めも兼ねるのだとか。まずは採寸をされる。ネムチャン…もとい十二番隊が有するデータに間違いはなかったらしく、衣装のサイズに問題はないとのことだ。いつの間にかスリーサイズもしっかりと十二番隊に把握されている恐怖に顔を引き攣らせながら、砕蜂チャンに手を引かれて椅子へと座らされる。化粧なぞ今までちっとも興味が沸かなかったが、人に施してもらうとなるとワクワクする。顔を滑る筆が少しくすぐったい。
「市丸隊長、紅は何色にしましょう?希望があれば言ってください!」
鼻歌を歌って上機嫌に私に化粧を施してくれていた雛森チャンが問う。色の希望はないがベタベタするのは好かないことを伝えると、これにしましょうと言って見せられたのは朱色の紅だった。派手すぎないかと思いつつ、文句を言える立場ではないので黙って受け入れる。お人形さんみたいでとっても綺麗ですと褒めてくれる彼女に礼を言いながら、ふと静まり返っている周囲に目を向けた。全員が私を見つめている。その視線の多さにぎょっとしつつ、大人しく雛森チャンに紅を塗られる。