第2章 アイ・ワズ・アイ
イヅルの発言から全てを察して、重い溜め息が零れる。音沙汰がないと思ったら、今はばっちり準備期間ということか。開き直って楽しもうとしていた気持ちが、現世の服まで用意されるとなると、その気合の入れように少し気後れしてしまう。私がきちんとすれば写真撮影に時間がかからないだろうとふんでいたけれど、これは認識を改めた方が良いかもしれない。イヅルの傍へと寄りながら、そっちがその気ならこっちだって、という変な対抗意識がふつふつと沸いてくる。私を着せ替え人形にして遊ぼうとする女性死神協会――なんなら金づるとして扱っているだろう彼女達に負けるわけにはいかない。いいように振り回されてたまるもんか、と決意を新たにする。
「ほんで、イヅルは私にどんな服着てほしいん?」
横からひょいと覗いて訊くと、少し恥ずかしそうにしながらもいいなと思ったものを教えてくれる素直な副官。そのどれもがふんわりとした服で、いかにも女性らしいものだった。(イヅルってこういうんが好きなんやなァ。)知らなかった一面を垣間見る。そうして段々と楽しくなってきた私も、時折口を挟みながら、イヅルが雑誌を熱心に見る隣で一緒になって見てしまうのだった。
「失礼します。市丸隊長はいらっしゃいますか?」
イヅルと一緒になって雑誌を見始めてからどれくらい経っただろう、神経質なノックと共に入ってきたのは八番隊副隊長の七緒チャンだった。私の姿を認めた彼女は、差し支えなければ少しお時間をいただきたいのですが、と堅苦しい言い方で私に用があると言う。はて、何やろか。何もやらかしていないはずだと自分に言い聞かせながら着いて行くと、女性死神協会が使用している部屋のうちの一室に連れて行かれる。そういえば彼女、女性死神協会の副会長だったっけ。部屋に入ると、そこには卯ノ花サンとやちるチャンを除く女性死神協会の面々が揃っていた。心なしかやつれたように見える乱菊が、きたきた、と私に手を振る。