第2章 アイ・ワズ・アイ
それを聞いて、砕蜂チャンは私の性格をよくわかってるなぁとにんまり。砕蜂チャンが私を引き合いに出したのだ、私が受けたからには絶対に巻き込んでやるという私の意図も分かっているのだろう。もっとも彼女は私が引き受けないとふんでの条件提示だったのだろうけれど。お茶をどうぞと目の前に置かれたそれを見遣り、一目見ただけでも丁寧に煎れられたであろうと分かるそれに感心する。こういう些細なもてなしをぞんざいに扱わないのは、ひとえに東仙サンの教育の賜物だろう。ありがとうと微笑みかけると、その女性隊士は顔を真っ赤にして逃げるように去っていった。可愛らしい反応に和んでいると、そのやりとりすら記事にする気なのか、檜佐木クンの隣に座る隊士が驚くようなスピードで筆を動かしている。この抜け目のなさも東仙サンの教育の賜物かと少し苦笑して、檜佐木クンへと視線を移した。
「それじゃあ早速ですが始めさせてもらいます。市丸隊長の幼少期のことなんですが―――」
「お疲れ様でした!」
最後の質問が終わった頃にはもう日が暮れていた。ふうと息を吐いて、背もたれへと身を預ける。これは面白い特集になるぞとわあわあ興奮する周囲に、目をキラキラさせる檜佐木クンに、少し笑う。
「九番隊の皆さんもお疲れさん。案外楽しかったで」
質問に答えながら昔のことを思い出すのは、なかなか悪くなかった。時折平子隊長のことや思い出したくないことまで頭に浮かんで切なくなったりもしたし、どうあっても答えられない質問もあったりして、誰がどう見てもはぐらかしているんだろうと分かる私の言動にも、彼らは追求せずに弁えてくれていた。だからだろう、ちっとも嫌な気持ちにはならなかった。
「謎に包まれていた市丸隊長の素顔!乱菊さんや朽木隊長との幼少期の感動エピソード!藍染隊長との五番隊時代の秘話!三番隊隊長になってからの各隊長達との関係性!これから護廷に入ろうと志す院生や席官を目指す隊士への為になる話!どれもが盛りだくさんで、これは歴代一位の売上待ったなしですよ!」