第2章 アイ・ワズ・アイ
なんだか嫌な予感がする。まずい流れになってきたなぁと苦笑して、圧し掛かる乱菊を退かした。その間にも二人の会話は進められていく。そおっと気配を消して姿を消そうと目論んでいると、後ろから馴染みの気配を感じた。
「市丸隊長、ここにいらしてたんですね」
私の姿を見つけて、ぱぁっと顔を輝かせるのはイヅルだった。可愛い副官に和みながら、助けてくれと泣きついた。おろおろしながら話を聞いてくれたイヅルは、少し呆れた顔をしながら私を労わってくれる。私の味方はこの子だけだ、さすが私の右腕!と縋り付く私を、この可愛い副官は次の瞬間絶望に落とすのだった。
「でも…市丸隊長の特集や写真集、僕も欲しいです」
「……ほんまに言うてるん…」
そんなのなくても、私のことよう知ってるやろ!と言えば、市丸隊長は秘密主義だから知らないことの方が多いと思いますと一刀両断。それにはぐうの音も出なかった。
「あらあら、可愛い副官にこんなこと言わせちゃったら隊長失格ね?」
にやにやと追い討ちをかけてく乱菊に、睨み返すことしかできない。
「修兵と話し合った結果、あんたの特集と写真集をセットにして発行することに決まったから!お互いウィンウィンだし、あんたのファンも喜ぶわよ。そうと決まれば写真集の構成も考えなくちゃ!いろんな服着させて遊んじゃお!腕が鳴るわ~!これで女性死神協会の来年度の予算も安泰ね!」
「最後のが本音やろ…」
拒否権はなさそうだった。重い溜め息を吐きながら、これからのことを想像する。檜佐木クンをはじめとする九番隊からの長いインタビュー。個人的なプロフィールのみならず、どうせ乱菊のことや白哉クンのこと、五番隊副隊長時代のことを訊かれるのだろう。それだけでも気が重いのに、問題は写真集の方だ。この乱菊の張り切り様を見るに、恐らく着せ替え人形にされることは間違いない。一体どれほどの時間を拘束されるのだろうか。けれど。恐らくもう決定事項であるし、覆すことはできないのだろう。嬉しそうにしているイヅルを見ると断る気持ちが萎んでいく。ああもう、やるしかないのだ。
「しゃあないなァ、受けたるけど―――まさかタダでとは言わへんよね?」