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徒花まみれの心臓 ~企画~

第1章 フー・アム・アイ




「……お前、結構いい奴だな」


松本から話は聞いているが、幼馴染補正だと思ってあまり信じていなかった。続けられたそれに、思わず笑う。素直な子だ。


「私もキミんことはよう聞いてるで。可愛い幼馴染がおんねやろ?」


「あの野郎、余計な事ばかり喋りやがって」


渋い顔をした彼を揶揄いながら、その幼馴染の子について話を聞いた。名前は知っている。私が三番隊の隊長になったと同じくらいに、五番隊に入隊した子ではなかっただろうか。彼の話を聞くと、どうやら数年前に霊術院で助けた際に藍染サンと私に憧れを抱いているらしいことや、鬼道が上手いことを知る。ああ、あの可愛らしい女の子か。藍染サンが、利用できると判断した、あの女の子。守りたい子なのだと、彼は言う。私にとっての乱菊がそうであるように、彼にとっての大切な幼馴染が、そうであると。それを聞いて、漸く私は理解した。藍染サンが、どうしてこの彼と私に話をさせようとしたのか。―――本当に、性格の悪い。


「……日番谷クン」


気づけば、立ち止まていた。つられて立ち止まり、怪訝な表情を見せる彼を、じっと見下ろす。この彼は、私の対となり得る存在なのだ。少なくとも藍染サンは、そのような意図を以て彼や彼の幼馴染、そして私と乱菊の関係を見て愉しむつもりなのだろう。


共通しているのは、何よりも守りたい幼馴染という存在。
そのために力を得て、死神になったという起因。
そうして。
真実を知る者と、そうでない者。
悪に堕ちた者と、真っ当な道を歩む者。


この彼は。もしかしたら存在していたかもしれない世界の私だ。もしも私が藍染サンの正体を知らなかったら。もしも私が悪に堕ちていなかったら。もしも私が、守るために離れるのではなく、守るためにそばにいることを選んでいたら。彼のように、光を浴びながら真っ当な道を歩んで、乱菊から離れずに済んだのだろうか。平子隊長を裏切らずに済んだのだろうか。


「……守りたいモンは、そばに置いとかなあかんよ」


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