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徒花まみれの心臓 ~企画~

第1章 フー・アム・アイ




おや。もう少し踏み込んでくるかと予想していたが、どうやら話はこれで終了らしい。ところで、私は三番隊舎へと確実に足を運んでいるのだが、こちらの彼はどうするのだろうか。乱菊の扱い方について話を聞きたいとのことだったけれど、もしかして三番隊舎でその話をするのだろうか。というか、藍染サンは何の意図があって私とこの彼をに話をさせるのだろう。悶々と考えながらすれ違う隊士達の挨拶に応えていると、次第にあることに気づく。挨拶をしてくれる彼らの中の幾人かに、不信感のような侮蔑のような、そんな悪感情が垣間見えるのだ。それは決まって隣の彼へと向けられていた。ちらりと黙したままの彼を見遣る。どうやら自分へ向けられる悪感情には気づいているらしいが、どうするつもりもないらしく、彼はむっつりと居心地悪そうに黙っているだけだった。


「……乱菊のことやけど。あの子ンことは諦めた方がええよ。私かてあの子んこときちんと扱えたことあらへんもん」


にこりと笑って言うと、彼は溜め息を吐く。お前が甘やかしすぎなんじゃねぇのかと言われたので、それは全力で否定しておいた。少なくともあの子の奔放さは私の所為ではないし、あの子は手を抜くのが上手なだけなのだ。上がしっかり者だと安心して怠けるだけであって、上が頼りないとあの子はその分しっかりする。キミがもうちょい怠けてみたら、あの子も真面目になるかもなァ。そう言って笑ってみせれば、それじゃ本末転倒だと厳しく返される。ごもっともだ。けれど。


「ま、もうちょい肩の力抜きィ。隊長らしくあろうとせんでええ、周りからどう思われようがキミは実力で隊長になったんや。年齢なんて関係あらへんよ」


小さい頃から地位を得ることの大変さなら、身を以てよく知っている。私の場合は三席であったし、周りに気を遣ったり控えめに過ごしたりすることで波風起たないようにしたけれど、彼の場合はそうもいかないだろう。隊長という立場上、下の者を気にかけるのは勿論良いことだけれど、顔色を伺ってはいけない。他隊の隊士なら尚更だ。誰に何を言われようと、隊長として過ごしていくうちに次第に周りは認めてくれる。そうでない人もいるかもしれないけれど、そういう人がいたって良いのだ。ついてきてくれる人だけついてきてくれさえすれば良い。


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