第1章 フー・アム・アイ
「まるで百年前の君を見ているようだよ。白銀の髪に神童と名高い呼び名もね。藍染、君がもう少し早くに市丸を手放していたら、彼女が歴代最年少の隊長だったかもしれないな!」
「それは言いすぎですよ、浮竹隊長。流石の市丸でも、日番谷隊長ほど幼くして隊長の座に就くことはできなかっただろう」
軽快に笑う浮竹サンに、藍染サンが厭味ったらしく応答する。こういう場面を見ると、いつも、不思議だなぁと思う。私が卑下されているようにもとれる言い回しに関しては、別に今更なんとも思わないけれど。そこに含められた意味深な棘や言い回しひとつとってみたって、客観的に聞けば「厭味ったらしい元上官だ」と私は思うのだけれど、彼の普段の人望がその厭味ったらしさを打ち消してしまうのだから。若しくは私が彼の正体を知っているからそう思うのだろうか。そんなことを考えながら、否定も肯定もせず、ただにこにこと微笑みやり過ごす。
「ちょうどいい、市丸。確か君は、彼のところの松本副隊長と仲が良かったね。二人で話してみたらどうだい」
試すような藍染サンの視線に、ゆるりと首を振った。
「いやァ、新隊長サンの貴重なお時間を頂く訳にはいきませんわ。まだまだ仕事もありますんで、ほな私はこれで」
「待て。……松本と仲が良いなら、その扱い方も多少知ってんだろ。あいつのサボり癖に困ってる…ちょっと話を聞かせてくれ」
私を引き留めたのは他でもない彼だった。それを少し意外に思いながら、苦笑する。浮竹サンや藍染サンの余計なアシストがあったとはいえ、乱菊絡みの話をされると、どうも断りにくい。お役には立てへんやろけど、聞くだけなら。言って、仲良くなれたらいいなと満面の笑みで手を振る浮竹サンと、いかにも私を警戒しているといわんばかりに難しい顔を作っている藍染サンを尻目に、彼とともに一番隊舎を出た。
「……お前、藍染と仲悪いって噂、本当なのか?」
「どうやろか。少なくとも、あちらさんは私ンこと気に入らへんみたいやけど」
「そうか」