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徒花まみれの心臓 ~企画~

第1章 フー・アム・アイ




「ほんじゃ、この生意気坊主のメンター、俺が引き受けるわ」


「……」


己が引き受けると軽快に手を挙げて言ってのけたのは、十三番隊の志波海燕という男。この男とは面識があった。浮竹とよく似て能天気で馴れ馴れしい無礼な男。お前か、という気持ち。思わず眉を寄せる。そんな嫌そうな顔すんなよ、よろしくお願いしますくらい言えねーのか。言って呆れた顔をする男に、頼んだ覚えはないと突っぱねる。このクソガキ、と青筋を立てる志波海燕を他の副隊長たちが宥めすかすのも束の間、雀部副隊長が副隊長会の終わりを告げた。ぞろぞろと去っていく彼らの中には愛美の姿もあった。なんとなしにその後姿を見ていると、突然くるりと振り向いた彼奴が私に向けて言う。


「あ、そや。白哉クン、今日の夜ちゃんと空けてはる?」


「……」


「その顔やと大丈夫そうやね。屋敷に迎え行くから、寝ずに待っといてな」


「…長くは待たぬ」


「ん、仕事早う終わらせますわ」


じゃあまた。言って、今度こそ去っていく。


「やっぱ仲良いだろお前ら」


先程まで怒っていたはずの男は、私と彼奴のやりとりを見てからりと笑う。訂正するのも面倒だと無視を決め込み、隊舎に戻ろうと足を踏み出した。













夕刻。志波海燕から副隊長の日常的な業務や緊急時の対応等の手ほどきを受け、六番隊の雑務に戻ろうとした私に、爺様が今日は帰れと言う。約束があるのだろう、と笑って。それになんとなく面映ゆい感覚を覚えながら、素直にその優しさを享受する。屋敷に戻り身を清め、愛美が来るまで読書をして待つことにした。けれど。本を開いても、字の羅列を目でなぞるばかりで、内容が全く頭に入ってこない。ふうと息を吐いて本を閉じる。


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