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徒花まみれの心臓 ~企画~

第1章 フー・アム・アイ


巣食ってあげたかった




















「此度の人事異動で六番隊副隊長に任命された朽木白哉だ」


しぃん。静まり返るこの場の空気に、同じ副隊長とはいえ新参者が四大貴族の当主であるというのは平民にはさぞ扱い難いだろうなとその心情を察して、少しだけ息を吐いた。この護廷十三隊では、隊長格に就任する際、必ず全隊の隊長の前で就任式が行われる決まりがある。それを終えた後は、副隊長だけでの集まりが開かれ、新参者の挨拶とそのメンターを決めるというのが常らしかった。現副隊長勢の中で、四大貴族の当主のメンターを率先して務めたいという者はただ一人を除いて存在しないだろう。皆、権力を恐れている。私が不当に権力を行使するような者だと思われているようで少し癪だった。


「白哉クン、顔が怖すぎやわ。なんや緊張してはる?」


妙な緊張感の漂う沈黙を破ったのは、幼少の頃より付き合いのある存在であり、五番隊副隊長の市丸愛美。呆れたように笑いながら言われたそれに、いつも通りだと冷たく返す。いつもはもうちょい柔らかいで。兄の目は節穴か。何十年の付き合いやのに見間違えるわけないやん。勝手に付き纏って何十年、の間違いだろう。軽口を叩かれるものだから、つい言葉を返していつも通りのくだらないやり取りが始まる。すると、いつの間にか場の空気が少し和らいだような気がした。そうして、噴き出し笑い始める一人の男につられるように、皆の表情が変わっていく。この私が笑い者にされているとは不愉快な。その元凶である愛美とその男を睨むと、両者とも更に笑うものだから気に食わない。


「ま、こない感じで白哉クンは案外可愛いとこありますんで、どなたさんか白哉クンのメンター引き受けてくださらんやろか?」


「仲良いんだろ?お前ら。ならお前が引き受ければいいだろ、市丸」


「仲良くなどない。此奴に指導を受けるなど朽木家の名折れだ」


「ほら、白哉クンこんなやし」



十二番隊副隊長の阿近といったか、その男が興味なさそうに提案したものは、何があっても拒否したいものだった。この昔馴染みに偉そうに指導されるのはご免だ。何より、漸く同じ副隊長として対等になったのだ―――教える側と教えられる側という関係になりたくなかった。


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