第1章 フー・アム・アイ
そうして、今。反膜(ネガシオン)に包まれ、虚圏へと、反逆した彼らが消えていく。その中には、今はもうすっかり大きくなったあの子もいた。(悪を倒すために悪を利用することを悪いことだとは思わない、か。)
百年前の、あの日。少女の問いに、自分が違う答えを口にしていたら。浮竹のように、悪に染まるのは理由が何であれ悪いことだと自分が言えていたら、こうはならなかったのだろうか。
「……参ったなぁ。平子君に顔向けできないや」
少しの後悔とともに、目を閉じた。
掬いたかった
(君の真実を知って、みんなが君を独りで死なすまいと探している。僕はそれを横目に、百年前へと思いを馳せる。きっとあの日、あの小さな子どもは、自分が求める答えを聞くためだけに僕に問うたのだろう。彼女の心は既に決まっていた。そうだ。どうあっても僕には彼女を掬うことはできなかったのだ。)