第28章 そうだ、全ては君がいたからだ
「……市丸様」
「様付けなんて柄やないわ、呼び捨てでええって。ほんで、何やの?」
ウルキオラからの様付けに顔を顰める。他の十刃達は、藍染隊長のことは様付けで呼んでも私と東仙サンのことは呼び捨てだ。私にはそっちの方が良い。
「十刃会議の時、グリムジョーを助けましたね。何故ですか」
助けた、というのは。話の途中に席を立とうとした彼を、その席に押し戻したことだろうか。そうか、ウルキオラには、あれが"助けた"ように見えたのか。答えはせずに、ただ笑みを深める。
「あの時貴女が止めていなければ、東仙様か藍染様が手を下していたでしょう。…何故グリムジョーに構うのですか」
訊きたかったのはそこか、と。ウルキオラの真意を理解し、そして、今日の彼はよく喋ることだと一人心の中で呟いて。多分、私のような死神が、必要以上に破面に構うことを不審に思っているのだ。彼は賢い。藍染隊長が、破面を道具に過ぎないと思っていることなぞ、理解している。だからこそだ。私がその"藍染様の道具"に近寄るのが理解できないのだろう。
「放っておけんから」
「………」
「理解できんひん?」
「理解しかねます」
---そっか。言って、笑う。胸に空いた穴が、彼の欠落したものをまるで的確に表している。(埋めてみたいなァ、その穴)せねばならぬ事、考えねばならぬ事、此処でも私がすべきことはたくさんあるけれど、どうせなら破面達の人となりを知りたいものだ。
ちょっかいをかけるから鬱陶しく思われている可能性は高いが、最近は私から関わるようにしているため、なんとなく破面達を知れたように思う。スタークは仲間というものに執着している。バラガンは自分を敬う態度を見せる人には寛容。ハリベルは物事を俯瞰で見てとても視野が広い。ノイトラとは結構仲良し、グリムジョーは言わずもがな。ゾマリとは哲学的な話をよく交わす。ザエルアポロは…うん、見ているぶんには面白い。アーロニーロは意外とノリが良い。ならば、ウルキオラは?
「あ。言っとくけど、私、キミにも構うつもりやから。よろしゅう」
「…は、」
「知りたいねん、キミのこと」