第38章 もしも三番隊隊長に復帰したら
「市丸隊長、昔みたいに俺らのこと名前で呼んでくれるようになったんスね」
俺も呼ばれるまで気づきませんでしたと檜佐木クンが笑った。
「なんやお前、今までこいつらのこと何て呼んでてん」
「市丸隊長は、いつからか僕と乱菊さん以外の人を名前で呼ばず席次で呼ぶようになったんです。何か理由があったのだと思っていましたが、…もう良いのですか?」
「…甘さを棄てんと藍染隊長にバレてしまうやろ・思うてな。ちょうどその頃から、本格的に藍染隊長が動き始めたし。それに、---みんなのこと好きやったから、裏切るん、ちょっと辛かってん。距離開けとかんと私が耐えられんかったんや」
しんみりした空気を壊すように日番谷クンをからかうと、再びにぎやかな雰囲気になる。ふと穏やかな顔をしたイヅルが、袖からある物を取り出した。私が彼に預けていた三番隊の隊首羽織だった。それを差し出しながら、彼が言う。
「……数百年、お疲れ様でした。市丸隊長、改めて、おかえりなさい」
受け取っても良いのだろうか。平子隊長はああ言ってくれたけど、私なぞが隊長の座に戻って良いのだろうか。迷う。そんな私に呆れながら溜め息を吐いて、平子隊長が私の腕を引っ張った。その手に無理矢理収まった隊首羽織をしげしげと見つめる。
「何迷うてんねん、早く着ィや」
「この後復任式があるからな」
サラリと初耳であることを言ってのけた白哉クンに苦笑をひとつ零しながら、それを恐る恐る羽織った。
「なんか言うことあるでしょ」
乱菊が笑う。
「……ただいま、」
小さな声で呟くと、おかえり、と、暖かい眼差しで迎え入れてもらえた。
ただいまと言えました
(復任式で、私と平子隊長と六車隊長が隊長として正式に復帰した。これから、また、三番隊の隊長として頑張らねばならないと決意を新たに顔を上げた)