第27章 オン・ザ・マイ・エゴ
「ああ、すまないがグリムジョー。愛美は置いて行ってくれ」
藍染隊長のその言葉に、ぎくりと身を揺らす。(あら、またやってもうたかな、)この人は意外と嫉妬深い。のだけれど、霊圧に乱れは微塵も無く、加えて表情にも出ないから、そのボーダーラインが未だに分からない。藍染隊長を睨みつけるグリムジョーに、後で宮へ向かうことを約束し、退室させた。グリムジョーが大人しく去った姿を見て、東仙サンも退室する。冷や汗を流す私を見て、藍染隊長が立ち上がり此方へ近付いてくる。
「君が誰と何をしようが、君の自由だ。私はそこには干渉すまい」
ぴたり。私の目の前で立ち止まり、藍染隊長が私を見下ろした。
「---けれど最近、どうも見逃せなくなってきてね」
その手を、私の首にかける。
「あまり私を舐めるなよ」
右手の親指で、優しく喉をなぞられる。殺気はないのに、息が詰まる。視線だけは彼の目から離さないまま呼吸の限界を感じていると、ふと手を離され、解放された。少し咳き込む。長いこと藍染隊長と一緒に居るけれど、こんなことをされたのは初めてだった。
「……すまない、君を傷付けたいわけじゃないんだ」
そのまま、抱き締められる。怖がらせた後でこうして酷く優しくするのは、庇護欲を掻き立て依存心を強めるためのものなのだと知っている。にもかかわらず、彼があまりにらしくない弱々しい声を出すものだから。馬鹿な私は、すぐに騙されるのだ。藍染隊長に包まれながら、その匂いに目を瞑る。確かに、安堵、してしまう。
「グリムジョーに構いすぎやったかな、すんません」
「…あのグリムジョーが、随分と君に懐いているね」
他の十刃達が私を避ける中で、彼だけは唯一私を避けない。それが嬉しいのだと言うと、藍染隊長は無言で抱き締める腕の力を強める。
「私が居るだろう」
嗚呼、やっぱり。嫉妬の境界線は計り兼ねれど、一度それを認識してしまえば、彼はこんなにも分かりやすい。プライド故か決して口には出さないけれど、要は私がグリムジョーに肩入れすることが面白くなかったのだろう。
「愛美」
「はい」