第27章 オン・ザ・マイ・エゴ
危惧していた通り、井上織姫が此方側に捕捉されてしまった。この子の能力には目もくれず、餌として置いておくだけなんて。藍染隊長の考えそうなことだと、ひっそり溜め息をひとつ。藍染隊長が興味を示している対象であるから、殺めようと思う者はいないはずだ。けれど、総隊長に誓った通り、この子を守らねばならない。あまり派手な動きをしていると、藍染隊長にバレてしまう。(もうバレてそうやけど、)十刃を集めた会議はつい先程始まった。井上織姫を助ける為に乗り込んできた、懐かしい旅禍の子供たち。向こう見ずで、だけどそれが酷く眩しい。
---なんて感傷に浸っていたら、問題児が何かを起こしそうな気配を察知する。
「グリムジョー、"お座り"」
立ち上がった彼が動き始める前に、瞬歩で彼の背後に移動して、その肩を下に押す。
「犬扱いすんじゃねェ!」
吠える彼を宥めながら、どうしてこの子はこうも本能的なのかと溜め息をひとつ。
「もう少し上手に生きな、言うたやろ。藍染隊長の話が終わるまで待ちィや。次は庇ってあげられへんよ?」
「うるせェ!その藍染サマの為に始末しに行くんだろーが!放せ市丸!」
暴れる彼に苦笑を零す。わからんやっちゃなあ。呟いて、スッと眼を開く。
「グリムジョー。"待て"、や」
「……ッ」
我慢しろ、と。目で訴えると、彼は大きな舌打ちをひとつ零して、漸く肩の力を抜く。ええ子やね、と頭を撫でてやると、すぐさま手を振り払われた。つれない。
「フハッ、まるで猛獣と猛獣使いだね」
笑うザエルアポロ。言い得て妙だと思う。使いこなせている気はしないが、彼は最終的に割と私の言うことに従順だ。
「さて、続きを話すとしよう」
藍染隊長の一言で、少し和やかになった雰囲気がピリッと殺伐としたものになる。その後、各自自宮で平時の通りに過ごせという藍染隊長の言葉を以ってしてこの会議は終わりを告げた。
「おい市丸、暇なら組み手しようぜ」
先ほどまで黒崎一護クンを真っ先に倒しに行こうとしてたお前はどこにいった。心の中でツッコミつつ、少なくとも今は藍染隊長の言うことを利くことにしたのだろうと察する。