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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第13章 白銀がひらり、舞い踊る




僕が貴女のその目に弱いと解っていてするんだから、本当に嫌になる。だけどそれに負ける僕も僕だ。結局僕は隊長が大好きで、甘やかしてしまうのだから。


「ありがとな、イヅル」


微笑んでお茶を受け取る隊長に少し照れるが、これを飲み終えたら書類を片付けてくださいねと厳しく言い放つ。危ない、いつものように隊長のペースに乗せられてしまうところだった。気にした様子もなくお茶に息を吹き掛けて冷まそうとする隊長を見ながら、数十年前までは毎日のように見ていた光景を思い出す。


「うー、煎れたての茶ァて何でこないに熱いん?も少し温いお湯で煎れてていつも言うてるやん!」


「いつも言ってるだろう。茶というものは熱いからこそその美味みが引き立ち「あーはいはい、それ何回も聞いたわ!」………ならば黙って飲め」


朽木隊長が市丸隊長の隣に居て、市丸隊長の隣に朽木隊長が居て。それが当たり前なのだと思っていた。朽木隊長を羨ましく思ったこともある。けど、僕じゃ到底朽木隊長には敵わないことも分かっていた。朽木隊長は四大貴族の朽木家の当主で、それに加え六番隊の隊長。その実力は本物で、鬼道だけであの阿散井君を圧倒するくらいだ。何より、市丸隊長は朽木隊長を松本さんと同じくらい大切に思っている。僕が踏み込める隙など微塵もなかった。2人で1つ―――市丸隊長と朽木隊長はその言葉が似合ういいコンビだと思っていたのに。


(貴女は朽木隊長から、否…誰からも遠ざかっててしまった)


緩やかに優しく、けれど確固たる拒絶を示し始めたのは数十年前からだ。あの日、隊長が珍しく感情的になって霊圧を上げた日。忘れたくないと、泣きそうな顔で言っていた。一体、誰のことだろう?隊長にあんな顔をさせる人がいるなんて。少し、妬ましい。


今ではもう当たり前になっている、市丸隊長の席次呼び。僕と松本さん以外の人は、名前を呼ばれなくなった。


あの、朽木隊長でさえも。


「………貴女の考えていることはよく分かりません」


「…ふふ、何やの、唐突やね」



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