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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第5章 心よ、氷ごと砕けるがいい





目に焼き付いて離れないような赤色に、不覚にも泣きそうになる。嗚呼、この赤は間違いなく、


「……ひ…、……たい…………ちょ、う……っ………!」


平子隊長の、瞳の色。


その赤色を逃すまいと必死に手を伸ばしながら、私は意識を失った。


「……オイ阿散井」


「………処罰なら覚悟してますんで。今はこの人を四番隊に運ぶのが先っすよ」


去ろうとした愛美の首裏に容赦なく手刀を入れ気絶させたのは、紛れも無く阿散井恋次だった。床に落ちる前に受け止めた身体は驚く程に軽く、阿散井は溜息を吐く。いつもニコニコと喰えない笑みを浮かべ、飄々としている市丸愛美を常々苦手に思っているのが正直なところだ。しかし、今日は明らかに様子がおかしかった。心配するなと言う方が無理だろう。


「檜佐木先輩、悪いんすけど市丸隊長を四番隊まで運んでくれませんか? 俺は吉良に事情を説明してくるんで……。ルキア、お前は乱菊さんに事情を説明してきてくれ」


阿散井が愛美を丁寧に檜佐木に渡し、檜佐木もまた阿散井同様愛美のあまりの軽さに驚く。目を閉じて微動だにしない綺麗すぎる顔は、まるで永久の眠りについてしまったかのように感じられ……檜佐木は無意識に息を飲んだ。阿散井は市丸隊長を頼みましたよとだけ言い残し、ルキアは一礼して去っていく。檜佐木は愛美を丁寧に抱え直して四番隊へと向かった。


「今この状態で朽木隊長に会ったら、…俺は絶対に殺されるな」


副官の吉良や幼馴染みの乱菊さんだけでなく、いつも一緒にいる朽木隊長にもいち早く知らせるべきではないだろうか。その前にまず総隊長に報告した方がいいのでは。思うところは多々あるが、今は市丸隊長を四番隊へ運ぶことが最優先だ。しかし、こんな細い身体でよく隊長を務めているものだの感心する。実際物凄く強いということを知っているためこの人が隊長格であることに不満はないが、心配にはなる。加えて、この人は偶にフッと消えてしまいそうな印象がある。(吉良が過保護になるのもわかるわ、)


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