第5章 心よ、氷ごと砕けるがいい
「―――…わーお、珍しい顔触れやねぇ。檜佐木クンと阿散井クンとルキアちゃんが一緒におるんは」
名前を呼ばれて振り返ると、目に入った珍しい組み合わせに若干驚く。でもまあ…言った後で思うが、それほど驚くことでもないかな。白哉クンと砕蜂チャンが一緒に居る場面を想像してみたらこの3人の組み合わせはまだ有り得るだろう、一応真央霊術院からの顔見知りらしいし。
「…あれ、市丸隊長………なんか顔色悪くないっすか?」
「俺にはいつもと変わりねえように見えますけど…っていうより、市丸隊長は元から肌白過ぎるんで分かんねっす。ま、檜佐木先輩が言うんならきっとそうなんっすね」
「市丸隊長、四番隊に行かれては…」
嗚呼、イヅルだけじゃなく、みんなに心配かけちゃってる。こんなんじゃいけない、もっとちゃんとしないと。弱ったところを見せちゃだめだ、いつもの自分はどこにいったんだ。
「あら、別にいつも通りなんやけどなぁ。大丈夫や、」
いつものように微笑んで言ったのに、何故か3人からは微妙な顔をされる。
「―――…市丸隊長…隊長は、」
「市丸お前っ、めっちゃ熱あるやんけ! 何でもっと早う言わんのや!」
「バレてしもうたか…、すんません。でも、仕事できん・てことはありまへん。大丈夫ですから」
「…………お前の言う“大丈夫”ほど信用できんモンはないでぇ。いいか市丸、確かにお前は優秀や。せやけどな、少しは他人信頼するっちゅうことを知れ。お前にとって俺はそないに信頼あらへんか?」
(また、だ。また、懐かしい記憶が、)
ずきずき、ずきずき。頭痛が、する。おかしいな…風邪なんか引いてたっけ?そういえば少し怠いような気もするし、肌寒いような気もする。あんな懐かしい夢を見たのも、平子隊長のことを思い出してしまうのも、もしかしたら風邪を引いて心のガードが緩んだからかもしれない。あの頃の記憶にがっちりと蓋をしているのに、それが今は少し緩んでしまっているから、だから……平子隊長の言葉を思い出すのだろうか。