第38章 もしも三番隊隊長に復帰したら
生かされてしまいました
(お待たせしました藍染隊長、)己の中に封印した彼に語りかける。あの日棄てたものをもう一度拾うことができた。総隊長からの任務を完遂しながら、藍染隊長を独りにさせないで済む方法が成功して本当に幸運だとひっそり笑う。幸せだった、もう充分だ。そっと、胸に手を当てる。
「死せ 神死鎗」
覚悟を決めて解号を口にした、はず、なのだが。いつまで経っても猛毒が作用する気配はしない。どういうことだろうか?私が解号を間違えるはずがない、確かに口にしたはずだ。もう一度、死せ、と呟く。やはり何も起きない。(なんでや、なんでなん、神鎗…!)
「……愛美……っ!」
「白哉クン、」
見つかってしまった、と思った。ふらりと姿を消しても、いつも私を見つけ出してくれる人。そんな彼が、瞬歩で現れては私を抱き締めた。少し遅れて阿散井クンと黒崎一護クンが辿り着くのを横目に、混乱の極みにあった私は白哉クンの体温を感じてホッとしてしまう。同時に、ある可能性が頭を掠めてしまって。身体が、震え出す。
「びゃくやくん、」
「……」
「おかしいんや、確かに神死鎗ん毒、胸ん中にあるはずやのに、……死なんねや」
「………」
「藍染隊長と約束したん、裏切りたァないのに、……っ」
カタカタと小刻みに身体が震えて、止まらない。彼は何も言わずただ私をその腕の中に抱き締めるだけで。どうしよう、藍染隊長は私と共に死ぬことを選んで封印されてくれたというのに、このままでは彼を騙し裏切ったことになってしまう。どう、しよう。思わず下を向くと、神鎗が目に入った。そうだ、何故か毒は作用しないけれど、それならばそれで自らを死に追いやれば良いだけだ。彼から身体を少し離し、素早く神鎗を始解して切っ先を自身に向ける。目を見開く彼。始解する。伸びた刃が私を見貫くはずなのに、まるで私の周りにバリアでもあるかのように、見えない何かが神鎗を弾く。
「っなんで…!」
---なんで、死なせてくれへんのですか---藍染隊長、
バリアのように弾かれる瞬間、仄かに感じる霊圧は、紛れもなく藍染隊長のもので。浦原さんの技術で封印して私の中に閉じ込めているというのに、まだそんな力があるのか。どうして、貴方に最期をあげると言ったのに、守るのだろう。