第37章 外伝
おはようを言えない朝に
彼奴の裏切りの真実を告げられる。彼奴が姿を消してしまったと焦った様子で言う砕蜂隊長の言葉を聞きながら、一人で死ぬつもりなのだと悟る。そうして、その場所にも検討はついていた。無言のまま穿界門を開錠する。
「朽木隊長!俺も行きます!」
「白哉、俺も連れてってくれ!」
恋次と黒崎一護がそういうや否や勝手についてくる。好きにしろと言いながら、兎に角急いだ。黒崎一護や恋次が何やら話しかけてくるが、それに応える余裕は無かった。彼奴が一人で最期を迎えたいのだと知りながらも、どうしても、最期に会いたかった。嫌味のひとつでも言ってやりたかった。そうして駆けた先、尸魂界に着く。瞬歩であの場所へと向かう。
「……愛美っ……、!」
良かった、まだ生きていた。そう思った。けれど。私が声を掛けたと同時に、彼奴の身体に穴が空く。時が、止まった様だった。恋次と黒崎一護の叫び声を背後に、ゆっくりと鮮血を撒き散らしながら倒れていくその身体を、地に着く前に抱きとめる。
「……間に合わなかったか」
この血液量では恐らく即死だろう。安らかな顔で眠る愛美をただ無言で見つめる。そうして、気遣わしげに私を見る二人を横目に、鬼道を用いて止血をする。治らない事なぞ知っている。せめてもの処置だった。
「……行くぞ」
その身体を丁寧に抱えながら、立ち上がる。噎せ返るような血の匂い。早くこの場から離れたかった。
そうして、此奴の死を、此奴を探し回る死神達に無情にも突き付けたのだった。
彼奴が遺した、私の血で汚れた薄桃色の髪紐は未だ捨てられないまま。彼奴の死を受け入れることはできている。寂しい訳ではない。悲しい訳でもない。怒りは…多少覚えるが、彼奴らしいとも思う。ただ、胸にぽっかりと、穴が空いたような喪失感がある。
「よー白哉!」
ひょっこり。物思いに耽っていると、隊首室の窓から顔をのぞかせ黒崎一護が姿を見せる。