第37章 外伝
---イヅルの斬魄刀は、そういう意味では三番隊ん矜持に合っとるね、と。市丸隊長はとても嬉しそうに笑っていた。
「市丸隊長、」
知っています、貴女がどれほど三番隊の矜持を重んじていたのかを。貴女が、虚を退治した後に、その命を思って黙祷していた姿を、ずっと側で見てきたのですから。
「どうか…見つからないで下さい」
市丸隊長は、探されたくないのだ。一人で、後悔を抱えたまま逝きたいのだろうと思う。戦いは英雄的であってはならない。総隊長から受けた任務の件もあって貴女が藍染隊長の下につき僕達を裏切ったことを、貴女は赦されたくないのだろう。世界を救った英雄として扱われることを何よりも厭うのだろう。貴女はそういう人だ。
「見つからないで、ほしいけど、」
だけど、今は。
誰よりも優しく、強く、そして、独りで戦い抜いた貴女を想って泣くことを、赦して下さい。
「あああああああああああッッ!!」
慟哭。涙が、隊首羽織を濡らす。
その背中で、その声で、いつも僕を導いてくれた隊長。もう、二度と会うことは叶わない。もう二度と、隣に立って、貴女を支えることはできない。哀しくて、恋しくて、もう一度名前を呼んで欲しくて。ただひたすら、市丸隊長の名を呼ぶ。もう、あの優しい声は、聞こえない。