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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第36章 バッドロマンス・グッドエンド













グリムジョーが連れて行ってくれた先は虚圏だった。ひどく優しい手つきで身体を横たえられる。霞んできた視界に危機感を覚え、回道で傷を塞いだ。これでとりあえずは大丈夫なはずだ。心配そうに私を見ていた彼が、隣で小さく安堵の息を吐いた。身体を起こし、立ち上がる。


「で、どこ行くんだよ」


「……尸魂界に」


黒腟では行けない場所だ。一瞬悩んだグリムジョーは、ならとっとと行くぞと私を再び抱える。


「え、グリムジョーも行くん?」


「行き着く前に死んだら元も子もねーだろ。…着いたらすぐ帰る。それなら文句ねェよな?」


「……ほんま優しいね、ありがとう」


グリムジョーの優しさに甘える。穿界門を開錠し、その中をグリムジョーに駆けてもらった。確かに、これは私一人ではきつかったかもしれない。


そうして尸魂界に着く。久しぶりのこちらの空気にホッとする。グリムジョーに降ろしてもらい、彼の帰り道用に門を開錠する。彼を見上げた。


「今までありがとう、グリムジョー。ほんで、裏切ってごめんな」


「…テメェがどっち側だろうがどうでもいい。さっさと死ね」


相変わらずの悪態に笑う。こんな彼だから死なせたくなくて、そして大好きだった。胸倉を掴んで引き寄せ、更に悪態をつかれる前にその仮面に口付けを落とす。彼の生が幸せでありますように、願いを込めて。


「…初めて会った時んこと覚えてる?私な、綺麗な眼した虚やなァ思うて、声かけずにはおられんかったんや」


覚えてたのかと目を見開く彼に笑みを零し、距離をとる。もっと上手な生き方しなはれや。言って、背を向ける。うるせェよと彼が小さく呟くのを耳に、瞬歩を使って目的地へと向かった。



「………棄てたもん、拾いにきたよ」


平子隊長を裏切ったあの場所。私が、大切なモノへの甘さを棄てた場所。最期はどうしてもこの場所で死にたかった。地面を踏みしめて歩く。最後に来たのは尸魂界を裏切る直前だったか、その時に置いていった花がすっかり枯れた形で残っていた。人も植物も、死とは、呆気ないものだなと思う。


乱菊と出会い、二人で過ごした日々。いつも何も言わずに消えて行って、あの子には悪い事をした。あの子の奪われたものは浦原サンが返してくれるはずだ。


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